【ネタバレ感想】『マザー!』一体何が起きているのか?そのストーリーを解説
※ネタバレあり※
公開中止の問題作
日本での劇場公開は見送られた作品です。日本人にはほとんど馴染みの無いテーマだったので、良い興行成績は期待できなかったのではないでしょうか。賢明な判断な気がします(笑)。
非常に奇々怪々なストーリーで一見ちんぷんかんぷんな映画ですが、一体何を描いていたのでしょうか。
この映画の正体
この映画の元ネタはズバリ聖書です。聖書の創世記の物語を独自に表現したブラックユーモアあふれる作品となっています。言ってしまえばちょっと変わった再現VTRみたいなものですね。
この映画に出てくるあらゆるものが、聖書に登場するもののメタファーとなっており、映画のストーリーも聖書になぞらえたものになっています。
監督のインタビューなどをもとに当てはめていくと・・・
主人公→マザーアース
主人公の夫→神
突然やってきた中年の男→アダム
中年男の妻→イブ
兄→カイン
弟→アベル
赤ん坊→イエス・キリスト
そのほかの大勢→信者
主人公の住む家→この世界そのもの
このようになります。これを踏まえた上で映画を見ると大筋がつかめてくると思います。
聖書の世界を完全再現
映画の後半からはかなりブッ飛んだ展開に突入しますが、聖書のストーリーだと知っているとコントを見ているみたいで面白かったですね。私もこの映画のモチーフが聖書だと途中から薄々気付いていましたが、見返してみるとかなり細かく再現されています。
自らの家(世界)を住みやすいものにするために日々手を加える主人公。そこへ突然中年男(アダム)と中年女(イブ)が現れ、傍若無人にふるまい始めます。
そして警告を無視した結果、夫(神)の大切にしている宝石を壊してしまいます。これが聖書で言う「原罪」にあたりますね。そして追い払われた2人が直後に行為に及んでいるという点も印象的です。
さらに中年男の息子たち(カインとアベル)が現れ、家が殺人現場に早変わりします。これは人類最初の殺人の再現ですね。
そして死んだ弟を弔うために大量の客が家に押し寄せ、家の中をめちゃくちゃにし始めます。
ちなみに私はこのあたりで物語の構造についてピンときました。少し頭のオカシイ人たちがどんどん現れるので、明らかに普通の話ではなくなってきています。序盤は胸糞悪い系の話かと思っていましたが、様相がどんどん変わっていきます。
目立つところしか触れていませんが、書き出してみると本当に聖書そのまんまって感じですね。最初から最後まで不安を煽るような演出が満載で、見応えがありました
ラストシーンの意味とは
物語の終盤、主人公の家(この世界)は押し寄せる大衆によって破壊されてしまいます。さらには武装した兵隊なども出てきます。ここは今までの人間の歴史を超コンパクトに表現したものですね。
そして主人公は赤ん坊(イエス・キリスト)を出産しますが、その赤ん坊さえも殺されてしまいます。
絶望した主人公(マザーアース)は自ら家(この世界)に火を点け、すべてを破壊します。
その後、夫(神)はボロボロになった主人公の体から「愛」を取り出し、新たな妻と一緒にまた一からやり直そうとします。
焼けた家が修復されていき、主人公だったジェニファー・ローレンスではない別の女性が起き上がるところで映画は終わります。これはこの映画の冒頭と全く同じ展開ですね。
夫(神)は理想郷を求め、何度も世界を作り直していました。この映画では神が自分勝手で利己的な存在として描かれていますね。
まとめ
聖書の話を現実世界とリンクさせると、こんなにも残酷で興味深い話になってしまうんですねー。大勢の大人に主人公がボコボコにされたり、子供が惨殺されてしまったりと、ショッキングなシーンも多くありました。
問題作と呼ぶにふさわしい映画だと思いますが、とにかく細かい演出や演技がどれも印象的で素晴らしかったです。おそらくまだ私の気づいていないメタファーもたくさん含まれていると思います。
描写も内容もタブーを含んでいる映画なので、やはり賛否両論あるみたいですね。観終わったあとに誰かと語り合いたくなる作品です。
【ネタバレ感想】『マイティ・ソー バトルロイヤル』ポップなノリにあふれた意欲作
※ネタバレあり※
新たな幕開けの予感
『マイティ・ソー』シリーズの3作目です。『キャプテン・アメリカ シビル・ウォー』には参加していなかったソーとハルクが大活躍しています。
今作はコメディタッチで、今までとは雰囲気も大きく違いましたね。マーベルらしさを前面に押し出したエンタメ作品に仕上がっていました。
個性的なキャラ
主人公ソーをはじめ、登場するキャラクターたちが個性的で面白かったですねー。
ソー(クリス・ヘムズワース)は今作で短髪にイメチェンしています。スタン・リーに髪をバッサリ切られたおかげで爽やかな感じになりました。(個人的にはこっちのほうが好きです)
ロキ(トム・ヒドルストン)に関しては、もはや完全なるお笑い担当と化していました(笑)。
それからグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)の気持ち悪さが素晴らしかったですし、スカージ(カール・アーバン)の立ち振る舞いも良いキャラしていましたね。
こういったぽっと出のキャラクターにも魅力を与えられるのは、マーベル映画の大きな特徴であり強みだと感じます。
アベンジャーズの他メンバーたちと比べると、正直ソーとハルクは強すぎる気がします。2人とも規格外のパワーを持っているので、アベンジャーズの一員としては扱いにくいキャラなのかなと思ったりもしていました。そのせいかは分かりませんが、『キャテン・アメリカ シビル・ウォー』に2人は登場していません。
しかしついに今作で、この2人に活躍の場が提供されることとなりましたね。ソーとハルクのバディものとしても楽しめる映画になっていたので、テンション上がりっぱなしでした。
それから大筋とは関係ないのですが、冒頭の茶番劇の出演者が無駄に豪華でしたね(笑)。ソー役はクリス・へムズワースの実兄であるルーク・ヘムズワース。オーディン役はサム・ニール。そしてロキ役はあのマット・デイモンです。顔面蒼白のマット・デイモンが妙に面白かったです。
2人の成長物語
今作は基本的に明るい雰囲気で描かれていますが、冷静に考えるとめちゃくちゃ重い話なんですよね。
ソーに関しては踏んだり蹴ったりです。映画冒頭で父親を亡くし、大事なハンマーを破壊され、髪の毛も失います。そしてヘラとの戦いでは片目も失い、最後には自らの故郷であるアスガルドまでもが消えてしまいます。
これらの精神的な支えが次々と無くなっていく中でソーの心情にも変化が表れ、土壇場で雷神として覚醒するに至ります。
ヘラとの最終決戦においても、ただ正面突破するのではなく機転を利かした作戦を実行するようになります。(結局ほぼ逃げたような形になったので、あまりカッコ良くはないかもしれませんが)
今まではかなり無鉄砲な性格でしたが、精神的な成長も窺えます。映画の最後でソーが王座に座る際には、風格もバッチリありました。
さらにハルクに関しても、今作で大きな変化が起こっていましたね。少し前までは全然喋れなかったのに、今作では周囲の人達と普通に会話しています。人類の進化を見ているような気分になりました(笑)。
また、怒りに身を任せて行動する「破壊の化身」だったハルクが、周りの状況を見て冷静な判断をする場面などもあり、より人間的になってきている気がします。
このような物語の中での2人の変化が印象的でした。
まとめ
戦闘シーンの迫力なども素晴らしく、非常にコメディ色の強い作品に仕上がっていましたね。あと選曲も好きでした。
あえて文句をつけるとしたら、邦題の「バトルロイヤル」が微妙ですね。原題通り「ラグナロク」でよかったんじゃないかと思います。
すべてが安定の面白さでした。大満足です!
【ネタバレ感想】『ゲット・アウト』常識を覆す展開!タイトルの意味とは
※ネタバレあり※
鮮烈な衝撃作
世界各国で高い評価を受けているこの作品。
単に人種問題を扱った映画かと思いきや、大間違いでした。映画の後半、物語は予想外の方向へと進んでいきます。
ホラー?サスペンス?コメディ?もはや1つの枠に収めることのできない映画です。記憶に焼き付くような作品でした。
常に流れる不穏な空気
黒人の主人公クリスは、交際中の白人ローズの実家にあいさつに向かいます。
その道中シカが車に激突したり、実家に着くと不気味な使用人がいたりと、序盤から不穏な空気がビンビン出ています。
(庭師の黒人が全速力で突っ込んでくるシーンは普通にビビりました。)
さらにクリスは、ローズの母親に催眠術をかけられてしまいます。そしてこの催眠術がめちゃくちゃ強力な性能を有しています。子供騙しなどではありません。クリスはこのせいで、スプーンでティーカップの飲み物をかき混ぜる音を聞いただけで、眠りに落ちる体質になってしまいます。
翌日のパーティーにやってきた人々も、どこか様子がおかしいです(カメラのフラッシュを見て発狂する黒人とか)。クリスは気味が悪くなり、もう帰ろうと言いだします。
ここまでは完全にホラーテイストでしたね。特に黒人メイドが不気味で、「なんかヤバそうな雰囲気」が丁寧に作り上げられていました。
トンデモ展開に突入
そんな中、クリスは恋人ローズがほかの黒人の男たちや、黒人メイド達と仲良くしている写真を発見。クリスは自分が危機的状況だと気付き逃げ出そうとしますが、催眠術をかけられて捕まってしまいます。
そして衝撃の真実が。
なんとこの家族は黒人を捕まえて、家族や友人たちの脳を移植して永遠の命を得ていたのです。
私はこれを聞いたとき、ギャグかと思ってしまいました(笑)。そんなのアリかよって感じです。
庭師の中身は実はローズの祖父で、黒人メイドはローズの祖母でした。
そして何より恐ろしいのが、脳の移植後も元の人格が存在しているという点ですね。この手術を行った後では、体の持ち主の意識と新たに移植された意識が共存する形になります。しかし主導権は基本的に新たに移植された意識が持っています。(ちなみにこの人格は、カメラのフラッシュによって切り替わります)
つまり被害者である黒人たちは、意識は残っているのに自分では何もできず、ただ外の世界を眺めるだけで一生を終えることになります。考えただけでもイヤになりますね。
ここまで来るともはやSF映画のような気さえしてきます(笑)。
映画のラスト
物語の最後、クリスはローズを追い詰め殺そうとします。しかし丁度そこにパトカーが現れます。この状況では黒人であるクリスが完全に悪者にされてしまいます。しかしパトカーからは友人のロッドが出てきて、クリスは助けられます。
今までの流れからバッドエンドになりそうだったんですが、まさかのハッピーエンドでしたね。(オールオッケーな訳ではありませんが)
アメリカでの不当な黒人射殺事件などを受け、あえて救われるラストにしたのではないでしょうか。
まとめ
人種問題が頻繁に取り沙汰されるアメリカならではの映画だと感じました。
かなり突飛な設定ですが、冒頭からラストまでそれがひとつのストーリーとしてまとめ上げられていて非常に面白かったです。アカデミー脚本賞受賞にもうなずけます。
タイトルのダブルミーニングも鮮やかでしたね。「この家から出て行け!」ということかと思いましたが、実は「今すぐここから逃げろ!」という意味を持っていたんですね。
映画を最後まで見て、自らの凝り固まった視点に気づかされました。人種問題に対する説得力を兼ね備えた映画だと思います。
【ネタバレ感想】『ブレードランナー 2049』Kとデッカードの正体とは
※ネタバレあり※
名作映画の続編
かの有名なSF映画『ブレードランナー』の正統続編です。SF映画の金字塔とも言われる作品の続編ということで、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴには相当なプレッシャーがあったのではないでしょうか。
私は『ブレードランナー』が公開された当時はまだ生まれていませんでしたが、鑑賞したときはそのビジュアルや世界観に圧倒されましたね。正直今作に対しては、鑑賞前は期待と不安が半々の状態でした。あの世界観をどのように継承し、どのようなストーリーになっているのか気になっていました。
結論から言うと、個人的には大満足でした!
ドゥニ・ヴィルヌーヴ節全開で、前作の世界を引き継ぎつつ新たなSF映画の形が出来上がっていると感じました。上映時間は163分と長尺ですが、不思議と長さは感じなかったです。
ストーリーが分かりにくい?
SFアクション映画を期待して見に行った人は拍子抜けすると思います。難解なストーリーとその重々しさから、眠気を誘われる人も多いのではないでしょうか。
今作鑑賞前には前作の『ブレードランナー』を見ておく必要があると思います。
さらに前作から今作に至るまでのストーリーを描いた短編動画が3本公開されていましたね。それが以下の3つです。
- 『ブレードランナー ブラックアウト 2022』
- 『2036:ネクサス・ドーン』
- 『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』
『ブレードランナー2049』ではこれらのストーリーを完全に踏まえた上で話が進むので、事前に知っておかないとより訳が分からなくなってしまうと思います。
さらに主人公がとにかく無口で全然喋らないので、自分なりに解釈しながら映画を見ていないと置いてけぼりにされてしまいます。
言ってしまえば雰囲気映画な部分もあるので、万人受けはしないかもしれないですね。(本当はいろんな人にオススメしたい映画なのですが)
圧倒的な映像美
今作ではなんといってもその映像の美しさに驚かされました。
街を上空から見たときに、建物の隙間だけにカラフルなネオンが光っている様子。火の粉が突如近未来都市に変貌する演出。AIと体が重なるシーンなどなど。挙げればキリがありません(笑)。
街のデザインや雰囲気も独特で、その世界観に存分に浸ることができました。
さらにCGによって完全再現されたレイチェルも登場します。
メイキング映像を見てみましたが、最近の映像技術は本当にすごいですね。あらゆるシーンにとてつもない手間を掛けているのがわかります。
Kは何者なのか
今作の主人公であるK(ライアン・ゴズリング)。彼の話は本当に切なかったですね。ちょっとかわいそうすぎます。
Kはレプリカントなので、人間から差別される対象です。AIの恋人ジョイを唯一の心の拠り所にしながら、汚れ仕事をこなす日々を送ります。
ある時彼は自らの記憶と合致する木馬を実際に見つけ、「自分は単に造られたものではない、特別な存在なのかもしれない」という希望を見出します。そしてデッカードが自分の父親であると確信し、彼の元へ向かいます。
しかし実際は「奇跡の子」は別にいて、Kはそれを守るための単なるダミーでした。(奇跡の子の正体は物語中盤に登場した記憶デザイナーのアナです)
この事実が明らかになるシーンの虚しさったらないですね。だいぶKに感情移入していたので、一緒に唖然としてしまいました。Kは全ての気力を失うくらい落胆してしまいます。
さんざん期待させておいてからのこの仕打ちはひどいですねー。こんなに報われない主人公って中々いないと思います。
デッカードについて
この映画の実質の主人公ポジションは、デッカード(ハリソン・フォード)なのかなと思いました。
デッカードは自分とレイチェルとの間に生まれた子供と、長い時を経た再会を目指します。映画の後半は完全にデッカードを中心に物語が進んでいきます。
デッカードに関しては、実は彼もレプリカントだった説や、「奇跡の子」の存在さえも仕組まれたものだった説など、様々な憶測がささやかれています。
(個人的にはデッカードの正体はレプリカントだと思っています。そうでないと話が成り立たなそうな部分があるので。)
ただ正直このあたりに関しては、いくらでも深読みができてしまうと思います。この映画が終わった時点で、明らかに真実だと分かっている事って結構少ないんですよね。
起承転結の「転」の部分で終わってしまっているので、消化不良感があります。「結局ウォレスはどうなったんだ!」とかまだまだ謎が多く残されています。
「それらの判断はみなさんに任せます」スタンスなんでしょうね。
まとめ
人間の本質について問うような映画でした。
今作では人間とレプリカントの境界が限りなく曖昧になってきています。レプリカントの感情は人間のように揺れ動き、さらには生殖能力まで手に入れました。言ってしまえば「新人類」であるレプリカント。この映画では「人間の定義とは何か」という問いかけがなされています。
かなり根源的なテーマを扱っていますが、何より映像美と世界観が本当に素晴らしかったですね。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作は今後もチェックしていきたいと思います。
【ネタバレ感想】『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』完全新作のゲーム内容は?
※ネタバレあり※
名作映画の続編
1995年に公開された『ジュマンジ』を私が初めて見たのは幼稚園生くらいの頃だったと思います。今見たら何てことないですが、当時はかなりビビりながら見ていた記憶がありますね。
そんな名作映画『ジュマンジ』が装い新たに帰ってきました!日本のみならず全世界で大ヒットしているとのことで、多くの人に愛されている作品だということが伝わってきます。
私もほぼ感傷に浸るつもりで見に行ってみたのですが、かなり楽しめました!新たな娯楽映画の傑作が誕生しましたね。
新たなゲーム
今作に関しては、過去作からのストーリー的な繋がりは基本的にありません。
そもそも「ジュマンジ」自体のゲームシステムがオリジナル版と全く違うので、ほぼ別物の映画みたいですね。
過去作はボードゲーム形式でしたが、今回はビデオゲームのカセットになっています。そしてゲーム内の世界に放り込まれた主人公たちが、ゲーム内のキャラクターとなって物語を進めていくことになります。
ジュマンジで知るビデオゲームの世界
映画ではこの「ビデオゲーム」としての設定が最大限活かされているので、それが見ていて面白かったですね。
各プレーヤーのライフは3つ。ゲーム内で死んでしまうと完全復活した状態で上空から落ちてきます。この演出がかなり好きでした。特にドウェイン・ジョンソンの着地がカッコ良すぎます(笑)。
終盤ではこの性質を利用しながら攻略を進める場面もあり、細かい工夫がされていましたね。
それから各キャラクターにはスキルや弱点などの設定もあり、それらを活かしながらゲームを進めていきます。弱点である「ケーキ」を食べたらアッサリ爆死したりと、結構重要な要素みたいです。
案の定、ドウェイン・ジョンソン演じるキャラクターはめちゃくちゃハイスペックでした(笑)。弱点ゼロです。
そしてゲーム内ではNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)も多数登場します。彼らは決められた通りに行動するだけなので、途中話が噛み合わなくなったりもします。こんな小ネタもしっかりと入っていました。
主人公たちはこれらのルールを手探りで学んでいくことになるので、常にハラハラしながら見ていました。
こういった演出の数々は、ビデオゲームを全く知らない人にはピンと来ないものかもしれません。しかし、今回のようなハリウッド大作でもこれらの「オタク的」な要素が取り入れられるようになり、時代の変化を感じさせられますね。
ギャグの応酬
この映画はとにかくギャグが多かったです。そしてその大部分が下ネタで構成されているという状態です(笑)。
ジャック・ブラックの演技が最高でしたねー。「中身は女の子」という役柄を見事に演じきっていました。
あと例の気持ちの悪いキスシーンはめちゃくちゃ笑えました。いくら初めてとはいえあんな感じになりますかね(笑)。
これらが良いテンポを生んでいて、最後まで楽しかったです。
まとめ
今作では、主人公たちは現実の自分とは見た目も中身も全く異なるキャラクターに入り込んでいます。このことによって、新たな価値観や多様な考え、協力することの面白さについて学んでいきます。
元々は気弱でヒョロヒョロのスペンサーは、強制的に超ムキムキで勇気のあるキャラクターになります。彼はゲーム内で自らの性格と葛藤しながら成長し、現実世界に戻ってからもそれを実践できるようになります。
映画には自分と向き合うことの大切さという普遍的なメッセージが込められていましたね。
そしてエンドロールの最後には、劇中に何度も登場した太鼓の音が流れます。このことから、まだジュマンジは終わっていないんだということを予感させられますね。
いやー見てよかったです。最初から最後まで飽きがなく、誰でも楽しめる娯楽作品だと思います!
【ネタバレ感想】『ジャスティス・リーグ』はDC復活のキッカケになるのか
※ネタバレあり※
DCコミックス渾身の1本
マーベル作品とは対照的に、今までは暗い雰囲気の作品が多かったDCコミックス作品。今作ではそんなイメージを払拭するような明るく痛快なストーリーが描かれています。かなり気合を入れて作られているのを感じましたね。
正直この路線変更に関しては賛否両論あると思います。これが吉と出るか凶と出るかはまだ分かりませんが、DCコミックスが大きな転換期にあることを予感させられます。個人的には以前のDC作品の雰囲気がかなり好きだったのですが、今作も普通に楽しめました。
メンバーは何者なのか
バットマン、ワンダーウーマン、スーパーマン、フラッシュ、アクアマン、サイボーグ。今作では6人のヒーローが登場します。
しかしこの面子を見てピンとこない方も多かったのではないでしょうか。
『ジャスティス・リーグ』の関連作で今までに公開されている映画は以下の3つです。
バットマン、ワンダーウーマン、スーパーマンは過去作に登場していますが、ほかの3人は登場していません。
マーベルの人気シリーズ『アベンジャーズ』では、事前にそれぞれのキャラクターにフォーカスした映画を作っているので、各人がどんな人物なのかすぐに分かります。
今作はそのような下地が出来上がる前に作られたため、キャラクターのバックグラウンドがイマイチ伝わらないという事態が起きてしまったのです。
批判的なことを書いてきましたが、映画自体はめちゃくちゃ面白かったんですよね(笑)。そのため、こんなに焦って公開しなくてもよかったんじゃないかと思ったりもしました。
ちなみに『フラッシュ』はテレビドラマシリーズが公開されていますね。『アクアマン』と『サイボーグ』に関しては今後制作される予定みたいです。
とにかくスケールがデカイ
今作の敵であるステッペンウルフとの激闘が世界各地で繰り広げられますが、そのスケールがハンパないです。街がひとつ消滅するのなんて日常茶飯事です。
ヒーローそれぞれのスペックが高いんですよね。ワンダーウーマンはノーモーションで高速移動できますし、アクアマンなんかはビル1棟突き破っても全くの無傷です。
なんといってもフラッシュがいいキャラしてましたね。超高速移動の演出もカッコよかったです。
バットマンも超人たちに肩を並べようと頑張っていました。ただ彼は普通の人間なので、自らの不甲斐なさにひねくれてしまったりもしますが、それが良い味を出していましたね。
スーパーマンの復活
さらに今作では『バットマンVSスーパーマン』で死亡したスーパーマンが生き返ります。この展開には驚きました。映画公開前に散々「ネタバレ厳禁!」と言われていたのはこの事だったんですね。
正直スーパーマンに関してはスペックが高すぎます。ほぼチートです。復活直後は我を忘れて他のヒーローたちに襲いかかってきますが、5人がかりでも全く歯が立たないです(笑)。超高速移動中のフラッシュを目で追うシーンの絶望感ったらないですね。
ステッペンウルフとの最終対決でも彼の加勢によって一気に形勢逆転していましたし、メンバー内のパワーバランスが完全に崩壊しています(笑)。
敵キャラの弱さが気になる
ヒーロー映画における悪役ってものすごく重要な立ち位置だと思うんですよね。強くてある種のカリスマ性を持つ敵を撃破した時に、カタルシスが得られると思います。
今作の敵であるステッペンウルフ。冒頭のシーンではアマゾネスたちを蹴散らし、強キャラの風格がありました。
ただ彼は今作初登場なので、限られた時間を使って自らの設定をペラペラと語るんですよね。そのふるまいから小物臭を感じてしまいました。そして部下にも恵まれていません(笑)。
最後はスーパーマンに軽くあしらわれ、情けないやられ方をしてしまいましたね。
今作は「ジャスティス・リーグ」の結成を描いた物語なので、これはこれで問題ないのかもしれませんが、この点は少し気になりました。
まとめ
魅力的なキャラも登場しますし、映像も迫力あって盛りだくさんの楽しい映画でした。最後はヒーローたちが「希望」を見出し、映画は前向きに締めくくられており、素直に心に響きました。
もともと今作の監督を務めていたザック・スナイダーが諸事情によって降板してしまい、作風が変わった部分もあると思います(ちなみに後任は『アベンジャーズ』を手がけたジョス・ウェドンです)。
ザック・スナイダー版『ジャスティス・リーグ』も見てみたいですね。
とにもかくにもDCコミックスにおける新たなシリーズが生まれたのは確かです。次回作を楽しみに待ちたいと思います。
【ネタバレ感想】『亜人』映画と原作コミックの違いを解説
※ネタバレあり※
人気コミックを実写化
桜井画門原作のコミックをもとにした実写化映画です。コミック原作の映画はもはや邦画の定番に定番になってきている気がします。
そういった作品は根強い原作ファンがいたり、やはりどうしても原作との差異が出てしまい、賛否両論になりやすいので評価が難しいですね。
かくいう私も原作コミックの『亜人』が好きだったので、今作ではそれがどのように再現されているのか気になっていました。
原作コミックとの比較もしながら、映画を見た率直な感想を書いていきたいと思います。
亜人とは何か
この3つが亜人の主な特徴です。
映画では、自らが亜人であることを知った永井圭(佐藤健)と、国内初の亜人である佐藤(綾野剛)らの戦いが中心に描かれています。
アクションに全振り
今作はとにかくアクションシーンに力が入っていましたね。頭脳戦や心理戦の要素も織り交ぜながら、スタイリッシュな攻防が展開されます。
アクションシーンで流れるダンス系のミュージックとの相性が良かったです。よりクールな演出になっていて見応えがありました。
そして亜人の「死なない」という特徴を最大限活かした戦い方が見ていて面白かったですね。大怪我をしても1度死ねば完全な状態で復活することができるので、自らの頭を銃で打ち抜いてリセットしまくります。
原作から純粋なアクションの要素を抽出して、コンパクトにまとめられている印象でした。その反面、ストーリー展開が少し雑になっていたり、登場人物の心理描写などはかなり少なくなっていました。そこは最初から割り切って作られたのかなと思います。
個人的にはもう少しキャラの内面を掘り下げて欲しかったですが。
原作漫画との違いは?
キャラ設定
- 永井圭
映画では研修医として働いていましたが、原作では高校生の設定です。
原作では佐藤や周囲の人々との関わりを通じて、永井の内面的成長が丁寧に描かれています。しかし映画だと単に「合理的な性格」となっていましたね。ここは原作も同じで、最初は感情移入しにくいキャラでした(笑)。
- 佐藤
彼に関してはキャラ設定が映画と原作では全く異なります。映画では日本初の亜人で、政府によって人体実験をされたために人間を憎んでいる、という設定になっています。
しかし原作の佐藤は元軍人のアジア系アメリカ人で、本名はサミュエル・オーウェンです。そして正真正銘根っからのサイコパスです。
人の命をなんとも思っておらず、自らが亜人であることを知った佐藤はゲーム感覚でテロを起こすようになります。
映画には登場しないキャラ
原作だけに登場する重要人物を一部紹介します。
- 海斗
永井の幼馴染です。めちゃくちゃ良いヤツで、永井の逃走を助けたり大活躍しますが、映画には一切登場しません。
- 中野攻
永井サイドにいる亜人です。永井とは対照的なアツイ性格で、フォージビルでの攻防でも活躍し、原作では主役級の扱いをされていました。
- オグラ・イクヤ博士
亜人研究の第一人者。亜人の性質について彼が分かりやすく解説してくれます。映画では彼に当たるようなキャラがいなかったので、亜人の特徴に関する細かい説明などはされていませんでしたね。
- 永井の母親
「永井圭」という人間を知る上で非常に重要な人物だと思うので、個人的には映画にも登場させて欲しかったですね。
亜人の死の定義
映画ではこの話題は出てきませんでしたが、原作ではたびたび語られているものです。
基本的に亜人は不死身ですが、「断頭」されると亜人は死んでしまいます。「なんだその矛盾は」と思いますが、これは少し哲学的な話なんですよね。
亜人が生き返るとき、遠くに行き過ぎた部位は回収されずに新たに作られます。もしそれが頭部だった場合はどうなるか。
切り落とされた頭部に残っている意識が本当の自分で、新しい頭は自分ではないのです。記憶などは引き継がれるため人格の連続性は保たれますが、切り落とされた頭部から新しい頭に意識が移るわけではありません。
本人からすると断頭された時点で自らの人生は終わりです。これが「亜人の死の定義」です。原作では「中村慎也事件」のケースがこれに当たりますね。
映画でも佐藤の転送シーンがありましたが、佐藤が全身粉々になってしまったため、肉体が再生される際に頭部も新しく作られています。つまりあの時点で今までの佐藤は死に、新しく生まれ変わった佐藤が復活しているのです。
中身は同じですが、実際は別人です。
書いていて私も少し混乱してきましたが、とにかく亜人も死ぬときは死にます。
まとめ
原作とは異なる部分も多くありますが、アクション映画としては非常に面白かったです!テンポも良くて楽しめました。
原作では黒い幽霊に関する細かい設定などもあるので、より深読みができたりします。
気になった方はチェックしてみてください!