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素人の素人による素人のための映画レビュー

【ネタバレ感想】『ゲット・アウト』常識を覆す展開!タイトルの意味とは

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※ネタバレあり※

 

鮮烈な衝撃作

世界各国で高い評価を受けているこの作品。

単に人種問題を扱った映画かと思いきや、大間違いでした。映画の後半、物語は予想外の方向へと進んでいきます。

 

ホラー?サスペンス?コメディ?もはや1つの枠に収めることのできない映画です。記憶に焼き付くような作品でした。

 

常に流れる不穏な空気

黒人の主人公クリスは、交際中の白人ローズの実家にあいさつに向かいます。

その道中シカが車に激突したり、実家に着くと不気味な使用人がいたりと、序盤から不穏な空気がビンビン出ています。

(庭師の黒人が全速力で突っ込んでくるシーンは普通にビビりました。)

 

さらにクリスは、ローズの母親に催眠術をかけられてしまいます。そしてこの催眠術がめちゃくちゃ強力な性能を有しています。子供騙しなどではありません。クリスはこのせいで、スプーンでティーカップの飲み物をかき混ぜる音を聞いただけで、眠りに落ちる体質になってしまいます。

 

翌日のパーティーにやってきた人々も、どこか様子がおかしいです(カメラのフラッシュを見て発狂する黒人とか)。クリスは気味が悪くなり、もう帰ろうと言いだします。

 

ここまでは完全にホラーテイストでしたね。特に黒人メイドが不気味で、「なんかヤバそうな雰囲気」が丁寧に作り上げられていました。

 

トンデモ展開に突入

そんな中、クリスは恋人ローズがほかの黒人の男たちや、黒人メイド達と仲良くしている写真を発見。クリスは自分が危機的状況だと気付き逃げ出そうとしますが、催眠術をかけられて捕まってしまいます。

 

そして衝撃の真実が。

なんとこの家族は黒人を捕まえて、家族や友人たちの脳を移植して永遠の命を得ていたのです。

私はこれを聞いたとき、ギャグかと思ってしまいました(笑)。そんなのアリかよって感じです。

庭師の中身は実はローズの祖父で、黒人メイドはローズの祖母でした。

 

そして何より恐ろしいのが、脳の移植後も元の人格が存在しているという点ですね。この手術を行った後では、体の持ち主の意識と新たに移植された意識が共存する形になります。しかし主導権は基本的に新たに移植された意識が持っています。(ちなみにこの人格は、カメラのフラッシュによって切り替わります)

つまり被害者である黒人たちは、意識は残っているのに自分では何もできず、ただ外の世界を眺めるだけで一生を終えることになります。考えただけでもイヤになりますね。

ここまで来るともはやSF映画のような気さえしてきます(笑)。

 

映画のラスト

物語の最後、クリスはローズを追い詰め殺そうとします。しかし丁度そこにパトカーが現れます。この状況では黒人であるクリスが完全に悪者にされてしまいます。しかしパトカーからは友人のロッドが出てきて、クリスは助けられます。

今までの流れからバッドエンドになりそうだったんですが、まさかのハッピーエンドでしたね。(オールオッケーな訳ではありませんが)

 

アメリカでの不当な黒人射殺事件などを受け、あえて救われるラストにしたのではないでしょうか。

 

まとめ

人種問題が頻繁に取り沙汰されるアメリカならではの映画だと感じました。

かなり突飛な設定ですが、冒頭からラストまでそれがひとつのストーリーとしてまとめ上げられていて非常に面白かったです。アカデミー脚本賞受賞にもうなずけます。

 

タイトルのダブルミーニングも鮮やかでしたね。「この家から出て行け!」ということかと思いましたが、実は「今すぐここから逃げろ!」という意味を持っていたんですね。

 

映画を最後まで見て、自らの凝り固まった視点に気づかされました。人種問題に対する説得力を兼ね備えた映画だと思います。