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【ネタバレ感想】『ブレードランナー 2049』Kとデッカードの正体とは

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※ネタバレあり※

 

名作映画の続編

かの有名なSF映画ブレードランナーの正統続編です。SF映画の金字塔とも言われる作品の続編ということで、監督のドゥニ・ヴィルヌーヴには相当なプレッシャーがあったのではないでしょうか。

 

私は『ブレードランナー』が公開された当時はまだ生まれていませんでしたが、鑑賞したときはそのビジュアルや世界観に圧倒されましたね。正直今作に対しては、鑑賞前は期待と不安が半々の状態でした。あの世界観をどのように継承し、どのようなストーリーになっているのか気になっていました。

 

結論から言うと、個人的には大満足でした!

ドゥニ・ヴィルヌーヴ節全開で、前作の世界を引き継ぎつつ新たなSF映画の形が出来上がっていると感じました。上映時間は163分と長尺ですが、不思議と長さは感じなかったです。

 

ストーリーが分かりにくい?

SFアクション映画を期待して見に行った人は拍子抜けすると思います。難解なストーリーとその重々しさから、眠気を誘われる人も多いのではないでしょうか。

 

今作鑑賞前には前作の『ブレードランナー』を見ておく必要があると思います。

さらに前作から今作に至るまでのストーリーを描いた短編動画が3本公開されていましたね。それが以下の3つです。

  • ブレードランナー ブラックアウト 2022』
  • 『2036:ネクサス・ドーン』
  • 『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』

ブレードランナー2049』ではこれらのストーリーを完全に踏まえた上で話が進むので、事前に知っておかないとより訳が分からなくなってしまうと思います。

さらに主人公がとにかく無口で全然喋らないので、自分なりに解釈しながら映画を見ていないと置いてけぼりにされてしまいます。

 

言ってしまえば雰囲気映画な部分もあるので、万人受けはしないかもしれないですね。(本当はいろんな人にオススメしたい映画なのですが)

 

圧倒的な映像美

今作ではなんといってもその映像の美しさに驚かされました。

街を上空から見たときに、建物の隙間だけにカラフルなネオンが光っている様子。火の粉が突如近未来都市に変貌する演出。AIと体が重なるシーンなどなど。挙げればキリがありません(笑)。

街のデザインや雰囲気も独特で、その世界観に存分に浸ることができました。

さらにCGによって完全再現されたレイチェルも登場します。

 

メイキング映像を見てみましたが、最近の映像技術は本当にすごいですね。あらゆるシーンにとてつもない手間を掛けているのがわかります。

 

Kは何者なのか

今作の主人公であるK(ライアン・ゴズリング)。彼の話は本当に切なかったですね。ちょっとかわいそうすぎます。

Kはレプリカントなので、人間から差別される対象です。AIの恋人ジョイを唯一の心の拠り所にしながら、汚れ仕事をこなす日々を送ります。

ある時彼は自らの記憶と合致する木馬を実際に見つけ、「自分は単に造られたものではない、特別な存在なのかもしれない」という希望を見出します。そしてデッカードが自分の父親であると確信し、彼の元へ向かいます。

 

しかし実際は「奇跡の子」は別にいて、Kはそれを守るための単なるダミーでした。(奇跡の子の正体は物語中盤に登場した記憶デザイナーのアナです)

この事実が明らかになるシーンの虚しさったらないですね。だいぶKに感情移入していたので、一緒に唖然としてしまいました。Kは全ての気力を失うくらい落胆してしまいます。

さんざん期待させておいてからのこの仕打ちはひどいですねー。こんなに報われない主人公って中々いないと思います。

 

デッカードについて

この映画の実質の主人公ポジションは、デッカードハリソン・フォード)なのかなと思いました。

デッカードは自分とレイチェルとの間に生まれた子供と、長い時を経た再会を目指します。映画の後半は完全にデッカードを中心に物語が進んでいきます。

デッカードに関しては、実は彼もレプリカントだった説や、「奇跡の子」の存在さえも仕組まれたものだった説など、様々な憶測がささやかれています。

(個人的にはデッカードの正体はレプリカントだと思っています。そうでないと話が成り立たなそうな部分があるので。)

 

ただ正直このあたりに関しては、いくらでも深読みができてしまうと思います。この映画が終わった時点で、明らかに真実だと分かっている事って結構少ないんですよね。

起承転結の「転」の部分で終わってしまっているので、消化不良感があります。「結局ウォレスはどうなったんだ!」とかまだまだ謎が多く残されています。

「それらの判断はみなさんに任せます」スタンスなんでしょうね。

 

まとめ

人間の本質について問うような映画でした。

今作では人間とレプリカントの境界が限りなく曖昧になってきています。レプリカントの感情は人間のように揺れ動き、さらには生殖能力まで手に入れました。言ってしまえば「新人類」であるレプリカント。この映画では「人間の定義とは何か」という問いかけがなされています。

 

かなり根源的なテーマを扱っていますが、何より映像美と世界観が本当に素晴らしかったですね。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作は今後もチェックしていきたいと思います。